この研究は、「より確実に子どもを見守りたい」、かつ、「現場の保育士さんたちのストレスを低減してあげたい」という園長先生の想いからスタートしました。
これまで子どもの身体活動や睡眠挙動の評価に使用してきた計測・解析技術を応用して、新生児・乳児の突然死を防止するための 見守りシステムの研究を行っています。

5月に行われた保育学会では、既に確立したシステムの中の2つの要素

新生児にストレスをかけない心拍数、皮膚温度及び寝姿勢の測定方法の確立

保育学会ポスター1.pdf_page_01新生児にストレスをかけない心拍数、皮膚温度及び寝姿勢の測定方法の確立
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集中モニターシステムの保育室環境での実践テスト

保育学会ポスター2.pdf_page_01集中モニターシステムの保育室環境での実践テスト (クリックすると詳細が見れます。)

に関する報告を発表しました。多くの方に関心を持って頂き、可能性に期待して頂きました。

しかし、多数寄せられた「何人、危ない所を救いましたか」という質問には、まだ、そこまで至っていませんと答えざるを得ませんでした。新生児・乳児の測定したデータを、どんな場合でも受信機まで届ける事ができ、かつ健康に害を及ぼさないレベルの電波強度の通信機器が無かったからです。

皆さんは、そのような装置はもう既に沢山あるだろうと思われるかも知れません。確かに我々(の前身)は2005年に心電図を30m程度飛ばす事ができる超小型装置を作成し、世界中の心電計メーカーを驚かせました。それ以後、我々が指導したもの、独自にまねしたもの等、多くの装置が出ています。

しかしながら、被験者の姿勢が変わる、被験者が少し汗をかく、被験者が厚い防寒着を着たり、布団の中にはいる、被験者と受信機の間を他の人が遮る等々、このような場合には電波が途切れ、データが無い時間が存在するのです。この12年の間なされた遠隔測定の研究は全て、最新の注意を払って得た良いデータのみを報告しています。

新生児乳児を見守る装置ではこのような事は許されません。データの途切れている間に異変があったら大変です。この1年間、世界でもトップの超小型生体計測装置のメーカーであるIMSI(日本、東京)と世界でもトップの超小型通信機器のメーカーであるJorjin(台湾、新北市)のコラボに、測定した生体データがどんな場合でも受信機まで届く小型測定装置の開発を行って頂いていましたが、本日(8月14日)開発から生産のステージに移行するとの連絡を頂きました。